チベットの密教芸術

骸骨踊り

 チベット仏教は、お釈迦様の国−インドで発展した仏教の伝統を最も忠実に受け継ぐもので、思想哲学・実践修行の両面に渡り極めて充実した内容を具えています。特に、密教の深遠な瞑想を生きた流れとして今日まで伝えている点は、その最大の特色といえるでしょう。ヒマラヤの雪嶺の彼方に広がる“聖地”チベットで守られてきた密教は、古くからアジア内陸部の諸民族に広まり、一つの大きな精神文化圏を形成してきました。そして現在では、欧米をはじめ世界中の国々へ紹介され、様々な面から高い関心を集めるに至っています。

 「密教」とは何かといえば、覚りを目指して修行するにあたり、仏の境地を先取りして瞑想を展開するという、そのようなアプローチ−本尊ヨーガ−を積極的に用いる大乗仏教の流れです。私たち普通の人間が、仏の境地を先取りして瞑想を行なう場合、あらゆる感覚を総動員して覚りの世界をイメージしなければなりません。そのため密教は、単なる教理の学習や座禅の実践だけでなく、音楽や美術などの分野で絢爛たる宗教芸術の伝統を育んできたのです。

舞踊  「デプン寺ロセルリン学堂チベット密教芸術団」は、こうした密教芸術の中でも代表的なものを実地に紹介することを目的とし、1988年から北米を中心にツアーを行なってきました。声明や仮面舞踊の公演、砂曼荼羅の製作などを通じ、世界の平和を祈り、人々の心に安らぎをもたらす活動として、ダライ・ラマ法王もこの企画を推奨しています。信心深いチベット仏教徒として知られるハリウッドの名優リチャード・ギアは、彼自身のプロダクションを通じて、ツアーを積極的に後援しています。ちなみに、ブラッド・ピット主演の映画「セブン・イヤーズ・イン・チベット」のサウンド・トラックで荘重な声明を披露しているのも、このデプン寺ロセルリン学堂の僧侶たちです。

 

 

 
 
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