このたびチベット仏教普及協会(ポタラ・カレッジ)では、チベット仏教ゲルク派大本山デプン寺ロセルリン学堂の高僧で事相の大家として名高いチャンパ・リンポチェ師をお招きし、平成15年3月27日から4月15日にかけて、密教の灌頂などを授けていただくことになりました。
今回は、無上瑜伽タントラに基づく「チッタマニ・ターラー」の灌頂、「ナムギェルマ」の長寿灌頂など、普通ではなかなか受けることのできない珍しい内容のものが揃っています。
まじめな信心のある方は、「生きとし生けるもの全てのため、速やかに仏陀の覚りを得たい」という正しい動機を確立し、この得難く貴重な機会を有意義に生かしてください!
■『般若心経』の伝授と解説
- 日時
- 4月5日(土)午後2時〜6時
受法費
- 正会員・賛助会員8,000円/準会員9,000円/一般11,000円
内容
- 日本でも馴染み深い『般若心経』を、チベット訳に基づいて伝授し、その内容を解説するとともに、仏教思想の心髄を平易に説き明かします。
チベットの僧院で学ぶ主な内容は、「般若学」と「中観学」です。前者は、慈悲や菩提心を中心に、迷いから覚りへ至る仏道修行の段階を説くもので、『般若経』の隠れた意味とされています。一方後者は、空性と縁起を中心に、仏教哲学の心髄を解明するもので、『般若経』の明らかな意味とされています。
そして密教の深遠な瞑想も、思想面ではあくまで『般若経』の教理に基づきながら、修行を実践しなければなりません。かくも重要な『般若経』の要点を、極めて短く凝縮した経典が、今回のテーマ『般若心経』です。それゆえ、『般若心経』をよく学び、その意味内容を修習するならば、密教を本格的に実践するための豊かな土壌を育むことになります。
※ 翌日の「チッタマニ・ターラーの灌頂」を受ける方は、なるべくこの御法話を聴聞してください。また、灌頂を受けない方でも、御法話だけ参加することができます。
【比較的一般向の内容です】
※ 灌頂を受けない方でも、この御法話だけ参加することができます。
■チッタマニ・ターラーの灌頂とグルヨーガ
- 日時
- 4月6日(日)午後1〜5時
受法費
- 正会員・賛助会員15,000円/準会員16,500円/一般20,000円
内容
- ターラー(救度仏母)は、諸仏の事業を体現する女尊であり、観自在とともにチベット仏教圏で絶大な信仰を集めています。
「諸仏の事業」とは、仏が広大無辺な慈悲で一切衆生を救おうと様々な手だてを講じることであり、そうした仏陀の救済活動自体が美しい女尊の姿となって現われたものこそ、ターラーにほかなりません。それゆえ、ターラーを本尊として拝めば−仏道修行の成就から現世利益に至るまで−様々な願望が速やかに叶うといいます。
今回の灌頂「チッタマニ・ターラー」は、無上瑜伽タントラに基づいた非常に稀有な秘法で、普通はごく少人数の弟子へ厳重に秘匿して授けられるものです。
灌頂の中身は、チャクラや脉管を克明に観想する瑜伽を伴った、極めて深遠で高度なものです。短時間で一気に核心的な内容へ入ってゆく法儀なので、受法希望者はあらかじめ正しい心構えを確立し、できれば無上瑜伽タントラの基礎理論を予習しておいてください。
大阿闍梨チャンパ・リンポチェ師は、平成12年秋に東京センターで、この「チッタマニ・ターラー」の灌頂を厳修なさいました。そのときは、灌頂と口伝のみ授けられましたが、今回は、それに基づいた「上師瑜伽(グルヨーガ)」の実践法を解説していただく予定です。このグルヨーガは、言葉自体は非常に短く簡単ですが、観想内容は大変に深遠なものです。それゆえ、実践経験の豊富なラマから直接伝授を受けてこそ、初めて本格的に修行する道が開けるでしょう。
[京都の会場]
随心院(ずいしんにん)能の間; 京都市山科区小野御霊町35 (TEL.075-571-0025)
京都市営地下鉄 東西線 小野駅から徒歩5分。無料駐車場あり。
受法者の方は、休憩時間などに、伽藍の拝観、境内の散策を自由にできます。
★ 御注意:随心院には、貴重な文化財の数々があります。襖や什物などを汚したり壊したりすることのないよう、十分に注意してください。
[随心院の縁起]
真言宗善通寺派の大本山「随心院」は、正暦2年(991AD)に仁海僧正が「牛皮山曼荼羅寺」と号して創建した名刹で、真言宗十八本山の中でも由緒ある門跡寺院の一つに数えられる。
仁海僧正は、宗祖弘法大師空海から理源大師聖宝を経て伝えられた密教の事相を窮め、曼荼羅寺を根本道場として一流を開いた。この相伝は、地名をとって「小野流」と称され、醍醐寺の三宝院流、高野山の中院流、山階派の勧修寺流などの起源となった。正嫡を受け継いだ増俊僧都は、寺号を随心院と改め、以後その血脈は「随心院流」と呼ばれて、東寺や善通寺に継承された。
このような日本密教の事相発祥の聖地で、チベット密教の奥義を伝える法儀が厳修されるということは、非常に大きな意味がある。なお、今回の伝授会場となる「能の間」には、歌仙小野小町に因んだ仏像などが安置されている。
[ 灌頂について ]
灌頂とは、密教の秘密を説き明かし、修行へ入る許可を与えることです。実際には儀式の形をとって行なわれますが、その本当の意味は、教理と実践法の伝授にほかなりません。密教の修行の特長は、本尊瑜伽、つまり修行者自身が本尊と一体化する瞑想法です。現実には普通の人間である私たちが、本尊瑜伽を実践するためには、正しい教えの流れを受け継いだ阿闍梨(ラマ)から灌頂を受け、仏縁を結ばなければなりません。こうして授かる祝福を「加持」といい、それを伴ってこそ本尊瑜伽を成就する道が開けるのです。もちろん、灌頂を受けて本尊瑜伽の修行を始めたからといって、実際にすぐ本尊の境地を得られるわけではありません。しかし、修行の結果を先取りして瞑想を繰り返す密教の実践を通じて、本来ならば何千回、何万回と生まれ代わりを繰り返して修行を続けた果てに得られる仏陀の覚りを、より早く実現することができるのです。
チベット密教では、同一内容の灌頂を何度も受法することは、その教えをさらに深く体得し、本尊との縁を強めるために大変有効だとされています。事実そのようにすれば、灌頂法儀の中で阿闍梨の指示に従って観想を展開するとき、瞑想体験が確実に深まったと実感できます。また、菩薩戒や三昧耶戒の破戒を懴悔して灌頂を受け直せば、これまでの罪過を浄化できるといいます。ですから、過去に同じ本尊の灌頂を受けたことのある方も、今回改めて受法なさることを是非お勧めします。
[ 灌頂受法の注意事項 ]
1.灌頂は、チベット密教の中でも最も重要かつ神聖な宗教儀式です。その点を御配慮のうえ、まじめな信心と正しい動機に基づいて受法してください。阿闍梨に対しては敬意をもって接するよう、常に心がけてください。
2. 事前のお申し込みなしでの御参加は、堅くお断り致します。必ず予約が必要です。
3.遅刻しないよう、十分気をつけてください。三昧耶戒などの授戒が済んだ後は、入場できません。
4.御自分がお座りになるための座具(小さめの座布団など)を御持参ください。大きな座布団は、広さに限りある会場で大きなスペースを占有し、他の方々の迷惑となるので御遠慮ください。
5.座りやすい楽な服装でおいでください。大きな荷物は、受付にお預け願います。
6.会場内でのビデオ撮影は、御遠慮ください。また灌頂法儀中は、写真撮影と録音も控えてください。
[ 受法申込方法 ]
灌頂や法話などの受法を御希望の方は、A、Bいずれかの方法でお申し込みください。
A.ポタラ・カレッジ東京センターの窓口
「受法申込書」を印刷、御記入のうえ、所定の受法費を添えてお申し込みください。
原則として午前11時から午後7時まで受け付けます(3月29日〜4月1日、4月4日〜7日、4月12〜13日は受付できません)。
B.電話による仮予約と振込
1. まずポタラ・カレッジ東京センター(TEL.03-3251-4090)へ、電話でお申し込みください。
原則として午前11時から午後7時まで受け付けます(3月29日〜4月1日、4月5日〜6日、4月12〜13日は受付できません)。その際、貴方の御氏名、電話番号、会員種別、受法を希望する日をはっきりお伝えください。当方で予約状況を調べ、空きがあればその段階で仮予約となります。
2.電話による仮予約の後、所定の受法費を御送金ください。仮予約の翌日から起算して5日以内(当該の灌頂・法話の前日まで4日に満たないときは、灌頂・法話の前日まで)に入金を確認できない場合、仮予約は無効となります。入金確認の通知は特に差し上げませんので、金融機関の領収書等を保存しておいてください。
3.「受法申込書」を印刷、ご記入のうえ、お早めに東京センターへ郵送・ファクス等で御提出願います。
送金先 : 受付は終了しました。
御注意
1.仮予約は、必ず電話でお願いします。ファクス、郵便、Eメールでは、予約状況を即答できません。
2.必ず仮予約してから御送金ください。既に満員となっている場合もあり得ます。
3.御送金は、銀行振込(電信扱)を御利用ください。それが困難な場合は、現金書留でお願いします。
4.ATMを御利用の場合、貴方の御氏名を入力すべき箇所で「ポタラ・カレッジ」の名称を誤まって入力なさる方が相当数おられます。御送金者の判別ができませんので、十分御注意ください。
5.一旦納付された受法費は、御本人の都合で参加できなくなっても返却致しません。満員になった段階で、受け付けを締め切らせていただきます。
★ 会費が未納となっている場合は、会員としての取扱いができませんので、至急納付してください。
[ 大阿闍梨チャンパ・リンポチェ師の略歴 ]
1936年、チベット本土カム地方に生まれる。3歳で転生活仏と認定され、仏門に入る。15歳のとき、仏教の蘊奥を窮めるためにラサの都へ赴き、ゲルク派の大本山デプン寺ロセルリン学堂に入門。仏教論理学、般若学、中観学、阿毘達磨、律学などを学ぶ。
1959年、ダライ・ラマ14世法王の後を慕ってインドへ亡命。南インドのカルナタカ州ムンゴットに再建されたデプン寺ロセルリン学堂で学問と修行を深め、1978年に「ゲシェー・ララムパ」という最高位の仏教哲学博士号を取得。ダライ・ラマ法王の師僧にあたる先代リン・リンポチェ大師に仕える傍ら、インドとネパールの亡命チベット人社会を巡錫し、灌頂や修法を通じて人々の教化と救済活動に尽力する。
今日のチベット仏教界にあって、数少ない密教事相の大家として有名。
1999年5月、チベット仏教普及協会の招聘により来日し、「ポタラ・カレッジ−チベット密教芸術祭」を指導・監督、東京センターでヤマーンタカ十三尊の大灌頂などを厳修。
2000年11〜12月、再び本会の招聘で来日し、東京センターで金剛瑜伽女の加持灌頂と成就法伝授、京都でヤマーンタカ十三尊の大灌頂などを厳修。
深遠な内容に踏み込んだ解説を交えつつ、受法者を密教の心髄へ優しく巧みに導く法儀の進め方は、長年の実践経験をもつ大阿闍梨ならではもの。
※ 今回の伝授は、全てチベット語で行ないます。ポタラ・カレッジ主任講師のクンチョック・シタル師が、日本語への通訳を担当します。英語による通訳はありませんので、あらかじめ御承知ください。
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